ありのままに、暮らすこと

『北海道スタンダードの家』

私たちは、此処でどんな暮らしができるか、敷地が語り掛けることに最大の注意を払い、建物という場をつくります。ダイニングで食事をするとき、居間で寛いでいるとき、ふと見通した窓の向こう側の景色を見たときに「ここで暮らしていること」への幸せな思いが沸いてくる。そんな家づくりを理想としています。

自然を最大限に採り入れて、「家の外と内+中間の領域」で季節の移りかわりを実感していただきたい。そのために、身土不二~地材地消という言葉の通り、その土地と人はひとつのものと考え、ここでつくっている材料で家をつくることは当たり前だと考えています。

北海道で生育した樹木からなる柱、梁、床材、壁材、その土地の土で焼いたレンガ、近くで採掘されている札幌軟石など、構造、床、壁の仕上げを極力自然の素材でつくることを旨としています。

日本全国、建築基準法という建築の最低限のルールのもとで住宅がつくられてきました。沖縄でも大阪でも東京でも、昭和25年につくられた法律で“日本の家”というカテゴリーで規制があります。日本ではおもに木造住宅が主流です。北海道では寒冷地という特殊性で、行政が主体になって寒冷地に対応する住宅の研究、開発、普及に努力してきました。

北海道には北海道にふさわしい建物でなければ、そこで暮らす住人にはしっくりこないのかもしれません。昭和50年代、60年代、そして平成になり、寒冷地ならではという高性能な住宅が生み出され、近年は北方型エコという超高性能な住宅がつくられるようになりました。

北海道には北海道のスタンダードで家をつくらなければなりません。本州で売り出され、それを北海道向きにアレンジして持ってきても北方型エコ仕様にはなれません。私どもが考える北海道スタンダードとは「高断熱・高気密」「地材地消」「デザイン」を兼ね備えたものです。北海道というなかで100年経っても30歳代の方にいい家だね、と感じてほしい。そんな目標を胸に家づくりをしています。